梅田望夫氏との対談イベント:「シリコンバレーのビジネス風土」と「オープンソースの思想」
本日(9月1日)、梅田望夫さんと対談イベントをします。どんなイベントになるか今から楽しみであるが、ここでもおって報告をするので注目しておいてほしい。トラックバックや感想をお待ちしています。(日付の間違いを訂正した。ちなみに9月4日はわたしの誕生日です)
9月2日
やりました、対談イベント。オープンソースの話が多すぎた。もっと、梅田さんにはてなの話とかベンチャーの話を聞けばよかったと反省している。
YouTubeでの映像。
はじめに (1/9)
* http://www.youtube.com/watch?v=t2-Uk_cIctc
エンジニアから見たシリコンバレー精神 (2/9)
* http://www.youtube.com/watch?v=TxUtXWBIyyo
オープンソース体験 (3/9)
* http://www.youtube.com/watch?v=jlEsYXXVFgI
5年前を振り返って (4/9)
* http://www.youtube.com/watch?v=YHnaTZqtcoE
オープンソースとビジネス (5/9)
* http://www.youtube.com/watch?v=uFf5byohb94
オープンソース組織とオプティミズム (6/9)
* http://www.youtube.com/watch?v=5okpPOedisE
インターネット企業とオープンソース (7/9)
* http://www.youtube.com/watch?v=ttbBd1KJ-JE
「ウェブ進化論」発刊後に変わったこと (8/9)
* http://www.youtube.com/watch?v=-Rsq6Y-rDWo
はてなについて (9/9)
* http://www.youtube.com/watch?v=J1F52qmDEXc
感想は今晩あたり追記予定。
近況/対談ログ
http://d.hatena.ne.jp/pekeq/20060901/p1
kawasakiのはてなダイアリ
http://d.hatena.ne.jp/kawasaki/20060901/1157108577
日経ITpro高橋信頼
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060902/247043/
9/3/06ちょっと長い追記:
思い返してみるといろいろ補足したい部分が出てくる。対談イベントというのはライブセッションだからそのライブ感が面白いのであるが、一方で文字でいろいろ記したくなるものもある。
今回の対談イベントのコンセプトは、シリコンバレーのパロアルトあたりのバーで梅田望夫と雑談していたことをしらふではあるけど観客の前で再現するみたいな感じである。
Linuxの会社をやっている人間が「OSSっていまだによく解らない」なんてことは普通は公言しない。少なくとも、日本で商売をしている以上、「OSSとビジネス」については日本で一番よく理解している者みたいな顔はしている。それが対談で「OSSってよく解らないよね」「そうだ、そうだ」みたいな話をしているのである。ライブというのは恐ろしいものだ。
自分の発言を再度聞いてみて(今回はJTPAツアー参加者の皆さんがボランティアとなって、会場の設定、懇親会の準備、録画、録音、ネットへのアップロードすべてをやっていただいた、感謝したい)、いくつか補足する。
「シリコンバレー精神」のプロローグで『第III章「マイクロソフトとリナックス(Linux)」は、マイクロソフトの独禁法違反裁判の行方に注目が集まり、同時にLinuxという摩訶不思議な知り者が勃興してきた時期(一九九八年から九九年頃)に書いた「手紙」を集めた。この五年間で私がいちばん驚き、心から興味を持った対象はLinuxだった。とても不思議な出来事のように思えたし、世界の構造を変えてしまうほどの可能性の芽に出会った気がした。Linuxユーザーグループのミーティングにも潜入してみたし、リーナス・トーバルスを自宅に訪ねて話も聞いた。でも怒涛のような企業家主導型経済に飲み込まれるようにしてLinuxが資本主義に飼いならされていくさまを見て、期待感は失望感に変わっていった』(15頁~16頁)と記している。
2000年春ごろ出張で梅田にシリコンバレーで再会しいつものようにバーで飲みながらそのような話をしたのを思い出す。彼の言葉に反発しつつ十分に反論できない自分がいた。わたしの直感としてはオープンソースと言うムーブメントはそんなにやわなものではないと思っていたが彼を論破するような材料を持っていなかった。
当時、梅田はわたしに「オープンソースがこのIT産業のゲームのルールを変えるようなとてつもないものであると感じたものはいったいなんだったか?われわれは共同幻想を見ていたのか?」というようなことをいった。「オープンソースの前後で何が変わったのか?マイクロソフトのやっているゲームとどれだけ違うのか?まったく違わない。単にソフトウェア開発方法論という意味で、オープンソースあるいはバザールモデルといってもいいが、それは新しいバリエーションを生み出したにすぎない。いや、バザールモデルですら、昔からあったではないか?となるとオープンソースが生み出したものはいったい何なのか?」
彼は続けた。「Red HatやVA LinuxそしてCaldera、これらのIPOは、この高度に発達した資本主義の世界では、オープンソースが例外的に理想郷を創造するということはありえないということをはからずも証明したのである」
オープンソースによって世界を変えるというのは、それでは幻想だったのか?
5年たってみて確かにオープンソースベンチャーと呼ばれる企業はあのITバブル時にIPOの熱狂に沸いていた。VA Linuxの当時のCEO Larry Augustinが登場するドキュメンタリ(REVOLUTION OS)でもその熱狂が伝わってくる。そしてバブルは崩壊した。
しかし、LinuxもApacheもMySQLもPerlもPHPもいまだにハッカー達によって開発されている。OSS企業というのがいくつも登場したしOSSにまつわるビジネスも盛んであるが、オープンソースのコミュニティはそのような企業があろうがなかろうが価値を生み続けてきたのである。何が変わって何が変わらなかったか?
ハッカーは今も昔もコードを書く。その現象は全く変わっていない。自分の興味の赴くままにコードを書く。いいコードは広く受け入れられるし、そうでないコードは忘れ去られる。そのメカニズムも全く変わっていない。
コミュニティでは多くのコードを書きリスペクトされているプログラマが影響力を持つ。コミュニティの統治のメカニズムも全く変わっていない。
著名なハッカーの何人かは大手企業やOSS企業に雇用されそこから給与を貰うようになった。あるいはOSSビジネスで収入を得るようになったものもいる。OSSにまつわるビジネスが発生したことが大きな変化である。80年代末世界で始めてCygnusという会社がGNUソフトウェアのサポートビジネスを開始したが、2000年前後から大手企業の参入、Red Hat社のIPO等々でOSSビジネスが離陸した。
コミュニティの統治のメカニズムやハッカーがコードを書くメカニズムというのは資本主義が影響を及ぼすほどやわではなかったのである。




対談とブログ、楽しみにしています。
一点細かいところを指摘させていただくと、本日は9月1日です。
投稿: shiro3@ミラクル | 2006年9月 1日 (金) 13:24
おお、shiro3@ミラクルさん、御指摘ありがとうございます。修正しました。9月4日はわたしの誕生日でした。
投稿: hyoshiok | 2006年9月 1日 (金) 14:11
(2/9)はこちらにあります。
http://www.youtube.com/watch?v=TxUtXWBIyyo
投稿: あおしま | 2006年9月 3日 (日) 02:10
トラックバックが拒否されたのは仕様でしょうか。リンクも張ったのですが。
投稿: no name | 2006年9月 4日 (月) 11:51
no nameさん、トラックバックは受け付ける設定になっています。
コメントにURLを張っていただければ調査します。
投稿: hyoshiok | 2006年9月 4日 (月) 15:14
あおしまさん、情報ありがとうございます。
投稿: hyoshiok | 2006年9月 4日 (月) 15:21
ようやく全部を拝見しました。
生産性の高さの部分は、ちょっと弱気なところが垣間見られましたが、気のせいでしょうか。この部分を見ながら思ったのですが、優秀な人間が素晴らしいコードを短期間に書くことが生産性の高さなんでしょうか。
プロプラエタリな世界では、限られた人数のチームが限られた時間内で、素晴らしいコードを生み出すことを、生産性が高いというと思っていますが、オープンソースの世界の優秀な人間からそうでない人間まで玉石混合の中から突然変異のような
コードが生まれる可能性が高いというところに面白さがあって、これは生産性が高いといわないんじゃないかなぁと思っています。
小飼弾さんのツッコミは、相変わらず弾の打ちすぎの感があって効果が埋もれちゃっていますが、一点シリコンバレーとオープンソースは関係ないんじゃないの
というのはちょっと鋭いなぁと思いました。シリコンバレーのソフトウェアに対して新しいことに貪欲に取り込もうというのと、オープンソースをシリコンバレーでやったか
というのは、繋がらないですもんね。
投稿: はとちゃん@小江戸らぐ | 2006年9月 4日 (月) 21:14
はとちゃん@小江戸らぐさん、コメントありがとうございます。
「玉石混合の中から突然変異のようなコードが生まれる可能性が高い」というのはおっしゃるとおりだと思います。それが面白いし、いいものが出てくる秘訣かと。管理しないことによる生産性の高さみたいな逆説的な言い方になってしまいますが。
投稿: hyoshiok | 2006年9月 6日 (水) 11:43
イベント大変興味深く拝見させていただきました。本イベントでは特に触れられてはいませんでしたが、自分が業務系アプリケーションのビジネスに関わっている関係で、最近の業務アプリケーションのOSSもちょっと気になっています。OSやDBをはじめとしたTech Stackのレイヤーを得意するエンジニアは世界中で多くいるので、こうしたOSSがどんどん成長していくのは納得がいくのですが、業務アプリケーションですと、技術に加えて業務知識も必要になってくるので、参加できるエンジニアの数も圧倒的に限られてしまうのではと思っております。また、業務は国毎に違うことも多いので、世界中で共通して使いまわせる業務アプリケーションが出てくるかもちょっと疑問だったりしてます。こうした状況で、果たしてLinuxやApacheやMySQLと同等の広がりを見せるOSSが出てくるのかがとても興味あります。
投稿: hidekoji | 2006年9月 7日 (木) 13:32
hidekojiさま、コメントありがとうございます。
バザールモデルの本質は目玉の数だと思いますので多くの開発者を集められないOSSは開発のスピードも質も低いでしょうから競争力を持つのは難しいでしょうね。
OSSであればなんでも上手くいくということはありえませんので、今後はどのようなアプリケーションであれば上手くいくのかいかないかの議論が出てくるかと思います。
投稿: hyoshiok | 2006年9月 7日 (木) 22:34