どうでもいいプチ蘊蓄、i18nの話
読者の皆様、これはブックマークだ。
baccus-dのブログを見ていたらi18nのお話が出ていたので、i18nの起源というプチ蘊蓄を語る。
この起源についての質問はインターネットでも時々間欠温泉のようにわきあがるいわばFAQみたいなものなのだが、90年代初頭にはつかわれていたとかいう証言がえられるが、なかなか起源まで行きつくものは少ない。
これはずばり85年頃のDEC (Digital Equipument Corporation) (後にコンパックに買収され、その後コンパックはHPに買収された)にScherpenhuizenという人がいて、彼のマシン(VMS/DECNET)名にS12Nという名前をつけていた。当時のVMS/DECNETはノード名の制限が6文字だった。なんでS12NかというとScherpenhuizenという名前は最初のSから最後のnまでに12文字あるからである。
この長い名前を(最初の一文字+中間の文字数+最後の一文字)という風に略すやり方は当時のDECでは流行っていて、DECのヨーロッパのソフトウェア国際化チームがそれにならってInternationalizationをI18Nと略すようになった。
当時のDECの社内は全てのマシンがDECNETで結合されていてI18N::というノードも存在した。
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さて上記のような蘊蓄を語ろうと思ったのだけど、記憶が曖昧だったので当然Googleにたよった。しかし、i18nだけで検索したらどう考えても、どうでもいい定義には行きつくが、起源までには辿りつけないと思った。
そこで、自分のはてなの日記(未来のいつか/hyoshiokの日記)をi18nで検索するが回答にたどりつけない。http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/searchdiary?word=i18n
自分はDECが起源であるという正解を知っているので、その知識を利用して、「dec i18n 起源」を検索キーワードとして検索した。
そうすると、http://b.hatena.ne.jp/donayama/20060930というブックマークがあって、その対象がそのものズバリの質問である。
LocalizationをL10N, MultilingualizationをM17N, InternationalizationをI18Nという風に省略しますが、こういう風な表記をし始めた発端、普及した経緯・きっかけなどを教えて下さい。http://q.hatena.ne.jp/1159582709
そして、その第一回答がそのものずばりの回答で、
http://www.i18nguy.com/origini18n.html
である。
Excerpts of the Email Discussionでの登場人物は80年代後半〜90年代にソフトウェア国際化で活躍したエキスパート達である。Jim Melton はDECで ISO SQL標準にかかわり(SQL標準の編集者)、SQLの国際化機能を設計した人、John McConnel、Tim Greenwoodは当時のDECの国際化アーキテクト(わたしもその一人)、樋浦さんはSunの人である。
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まったくもって思い出モードにはいってしまうのだが、80年代というのはソフトウェアの国際化という概念がまだ確立されていなかった。当時日本DECという外資系に勤務していて、ソフトウェアの日本語化に四苦八苦していたわたしはどうにかしてこの問題を解決したいと強く思っていた。未来のいつか日本語化というような作業なしに英語と同じように簡単に日本語が利用できる世界を夢見ていた。
米国本社と議論をかさねるうちに、ソフトウェアの国際化で苦労しているグループがヨーロッパにいることを知った。わたしにとっては米国も欧州も同じようなものかと思っていたので(われわれはよく欧米と一括りにする)、驚きであった。
ドイツ語、フランス語のアクセント記号やウムラウト付文字は7ビットのASCII文字にははいっていないので、それらの言語が正しく表現できないのである。
ソフトウェアが7ビットASCIIを仮定していたので欧州系の言語ですら正しく表現されないというのが80年代初頭の状況であった。そこでヨーロッパのエンジニアリングチーム(Jurgen Bettelsらのチーム)と共同でソフトウェアの国際化について議論をはじめたのが80年代中頃である。その後、各種標準活動を通じて他社のエンジニアと議論をふかめていった。
当時のプログラミング言語はCを筆頭にASCII前提の言語仕様になっている。ソースコードがASCII前提というのは現実的制約ではあるが、プロセスコードも多くはASCII前提である。
UnixはCの影響でばりばりASCII依存のコードになっていたのはよく知られている。
当時は、わたしはDEC Rdbの開発チームにいたので、Jim Meltonらとも標準や実装について徹底的に議論をしたし、その後ISO/IEC JTC1/SC22/WG20 というそのものずばりソフトウェア国際化について議論するグループに参加したので、企業や地域の枠を越えたコラボレーションをおこなっていた。標準化活動というのは通常は企業の利害対立の場でもあるのだがソフトウェア国際化という夢の実現にむけては利害が一致していた。非常に貴重な経験をしたと思っている。
企業や地域の枠を越えたコラボレーションの例としてISO/IECのような標準化団体での活動、Xコンソーシアムのような産学共同プロジェクト、/usr/groupなどのUnixユーザグループなどの形態がいろいろあるが、それらのコラボレーションの経験を積んだ人々は、オープンソースのバザールモデルへの理解が深いのも特徴だといえる。
解くべき正しい問題を解決するには地域や組織の枠をこえた多くの人や組織とのコラボレーションが必須であることを、わたしはその経験から学んだ。それがわたしのオープンソースに対するコミットメントの原点にもなっている。




http://hsj.jp/junknews/2006/09/30/internationalizationi18n.html
というエントリも発見しました。
投稿: hyoshiok | 2007年1月18日 (木) 13:55
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