イノベーションのジレンマ
先日、「オープンソースは資本主義の破壊的イノベーションである」などと書いたのであるが、イノベーションのジレンマをぱらぱらめくってみた。
http://blog.miraclelinux.com/yume/2007/08/post_7b5e.html
破壊的イノベーションによって破壊された企業に勤めていたという個人的な体験からか、この本に書かれている事例はインサイダーから見ても非常に興味深い。
あなたは、あなたの会社の基幹製品がいとも簡単に破壊的イノベーションにより破壊されていくさまを経験したことがあるだろうか。その貴重な経験からあなたは何を学ぶのだろうか。
収益が悪化し大幅な赤字を記録した企業の常としてコアビジネス以外を売却する。DECの場合は、教育ビジネスであったり、ストレージ部門であったり、DEC Rdbのようなソフトウェア部門であったりする。資産を売却するので一時的なバランスシートの数字は好転するが、もはや自立的な復活は望めないデススパイラルに陥ってしまっている。そしてこのスパイラルにはまった企業で復活した例はほとんどないとクリステンセンは指摘する。
そのプロセスの中で、希望退職プログラムなどを含め社員がどんどん辞めていく。破壊された企業から破壊する企業へと人材は流動する。
わたしはDECを94年に退職し、日本オラクルへ転職したわけだが、その典型例と言っていいかもしれない。その当時は全く意識していなかったのだが、Oracleのデータベースはクリステンセンの言う破壊的イノベーションそのものであった。
Rdbチームに身を置いていたものとして当時のOracleのRDBMSは冗談としかいいようがなかった。性能はプアだし、機能も貧弱だ。信頼性もサポートもお話にならなかった。しかし、仮にそうだとしてもOracleは破壊的なイノベーションであった。顧客はもっと簡単に利用できるRDBMSを求めていたし、様々なハードウェアやOSで走るOracleに魅力を感じていた。DECのRdbを購入すればVAX/VMSというマシンにロックインされてしまう。それはもはや価格競争力の低いハードウェアプラットフォームであった。
Rdbチームが感じていたものは典型的な持続的イノベーション企業にいるものの典型的な反応である。自分たちのビジネスが破壊されつつあることにいかに鈍感であるか。
破壊的イノベーションというのは画期的な技術による破壊ではない。技術そのものはむしろ未熟で改良の余地が多いが、ローエンド市場ではそれでも十分であったり、まったく新しい市場では破壊的な力を持つ。
それにしても恐ろしい話である。
皆様にはじっくり読んで頂きたい教科書である。




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