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プロフィール

吉岡 弘隆 - よしおか ひろたか

日本OSS推進フォーラム ステアリングコミッティ委員
OSDL Board of Directorsを歴任
カーネル読書会主宰

2000年6月、ミラクル・リナックスの創業に参加。
95年~98年、米国OracleにてOracle RDBMSの開発をおこなっていた。
98年にNetscapeのソースコード公開(Mozilla)に衝撃をうけ、オープンソースの世界に飛びこみ、ついには会社も立ち上げてしまう。
2008年6月取締役CTOを退任し一プログラマとなった。

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若い人に人気のない産業は減衰する

未来をイメージできない産業に人は集まらない。IT産業は人がすべてである。魅力のない産業は減衰する。

IPAフォーラム2007
【討論会】
「学生から見たIT産業」と「IT産業から見た学生」
~IT産業は学生からの人気を回復できるか~
http://www.ipa.go.jp/event/ipaforum2007/program/discussion.html#tou-1

参加者がすごい。業界の重鎮。岡本晋氏(TIS株式会社 代表取締役社長)、浜口友一氏(社団法人情報サービス産業協会 会長、株式会社NTTデータ 取締役相談役)、藤原武平太氏(IPA 理事長)。

当日、このパネルディスカッションに参加していないので、下記の報道で様子を窺うしかないのであるが、「業界の重鎮もたじたじ」だったそうである。

IT業界不人気の理由は? 現役学生が語るそのネガティブイメージ - @IT
http://www.atmarkit.co.jp/news/200710/31/ipa.html

この報道だけでは、なかなかその空気がわからない。IT産業の夢とかビジョンを雄弁に語られたのだろうか。

IT産業のイメージに対して、『岡本氏は「モノをつくっている会社は、イメージがモノで通じている。われわれの業界はモノを作るといってもソフトウェア、もしくはサービスを提供している。目に見えてイメージはわかないかもしれない。インターンなどで実態を見てからもう1度考えていただければいい」と学生を諭した。』と答えているようであるが、業界の重鎮が明確にビジョンを語れなくては困る。

コンピュータシステムによって世界をよりよくしていくのが使命なのではないか。ソフトウェアによって世の中を便利にしたり豊かにしているのではないか。

IT業界はどのような学生を求めているかに対し、『重鎮たちは「コミュニケーション能力に長けている人」(浜口氏)、「チャレンジングで好奇心旺盛な人」(岡本氏)』を挙げたそうであるが、営業だって、企画だって、コミュニケーション能力が必要であろう。IT技術者に専門性は必要ないのか。

業界の重鎮が学生に学生時代には専門を一生懸命勉強してきてくださいと言わなくてどうする。学校の成績がいい学生が実務で使い物にならないとしたら、教育機関にもっと実践的な教育を要求しなくてはいけない。例えば自動車のエンジンを設計する部署に文系の学生が採用されるか。ありえないと思う。機械科なりを卒業した学生が前提であると思う。

OSSのプロジェクトに参加することをわたしは強く勧めるが、学校で基礎を学ぶことは重要だと思う。

というようなことも考えていたのであるが、当日討論会に参加していた、学生さんの日記が下記にある。

IPAフォーラム2007で討論してきた - 東大MOT学生の奮闘記http://d.hatena.ne.jp/itoyosuke/20071101/1193932945

討論会の内容は報道されているよりも、さらに厳しい。

BtoBのビジネスをしている企業の業務が学生から見えにくいのは当然で、見えにくいなりに工夫をしないといけないと思う。でも、パネリストの口ぶりからは見えにくいのは当然のことで問題と感じていないというような雰囲気が伝わってきた。興味を持たなければ、インターンにも来ないだろうに。

ソフトウェアはモノではないからイメージしにくいというのは昔から使われていた言い訳である。先日NHKで放送された、「ポアンカレ予想」の番組は数学というもっと抽象的なものを見事に具体的イメージとして表現していた。プログラミングの楽しさ、面白さをもっと伝える努力がこの業界には圧倒的に足りないのである。問題と感じていないことが問題なのである。

ITを専攻している学生達からは、「就職時にITスキルが問われないのだとしたら、大学でやっていることには何の意味があるのか」という質問が出ていたのだけど、明確な回答はなかったと思う。その人たちは、ちょっとショックを受けていたような気がする。

大手SIベンダーの問題がここに垣間見られる。専門性を必要としない仕事なのか。それを言っちゃあおしまいよという事である。

その流れで、「入社時にITのスキルを問わないというのは、Googleのような企業の方針とは反対であるが、それですばらしいサービスを作ることができるのか」という質問が出たのだけど、「Googleの開発と日本のカスタムメイドなシステムを作るSIerの開発は違うもの。Googleはスモールチームで仕上げるが、日本は製造業的にラインを組んで仕上げるため、いろんな人材が必要になる。」とのこと。単に効率の悪いシステム開発をしているということではないかと思ったのだが、どうなのでしょう。使っている言語も違うだろうし、一概には比べられないかな。

大手SIベンダーからは銀行のオンラインシステムは作れるかもしれないがニコニコ動画とかmixiは絶対作れないということがよく分かる

この業界では、いつも「人材育成」がどうだということが語られるが、失礼ながら業界の重鎮がこの程度の認識だと、この程度の認識の人間しか集まらない。若い人たちに興味を持ってもらうためには、この業界の存在意義、ユメや志、ビジョンを熱く語る人が必要とされている。そして若い人たちがいっぱい就職したいと思う業界にこそ世界のトップノッチの人材が集まるのである。

誰もがまつもとゆきひろにはなれないが、教育と訓練と仕事の経験をつめれば、優れたプログラマにはなれるのである。ユメや志やビジョンを共有できなければモチベーションが続かない。それを語り続ける重鎮が必要なのである。

ブックマークのコメントも参考になる。

ブックマーク:IT業界不人気の理由は? 現役学生が語るそのネガティブイメージ - @IT
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://www.atmarkit.co.jp/news/200710/31/ipa.html

ブックマーク:IPAフォーラム2007で討論してきた - 東大MOT学生の奮闘記
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/itoyosuke/20071101/1193932945

NHKスペシャル、「100年の難問はなぜ解けたのか~天才数学者 失踪の謎~」
http://www.nhk.or.jp/special/onair/071022.html

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話題のエントリです。何が話題かはさておいて、以下の一節はいろいろと思うところあり。 ソフトウェアはモノではないからイメージしにくいというのは昔から使われていた言い訳である。先日NHKで放送された、「ポアンカレ予想」の番組は数学というもっと抽象的なものを見事に... [続きを読む]

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失礼ながら業界の重鎮がこの程度の認識だと、この程度の認識の人間しか集まらない。 ユメのチカラ: 若い人に人気のない産業は減衰する [続きを読む]

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コメント

> 大手SIベンダーからは銀行のオンラインシステムは作れるかもしれないがニコニコ動画とかmixiは絶対作れないということがよく分かる

それはその逆も然りではないでしょうか。「優れた銀行オンラインシステム」を作るにはどうしたらいいか、もやっぱり重要だと思います。mixiもニコニコも無くて困る人は少ないけど、銀行のシステムは止まったら一大事だし。魅力は無いかもしれないけど、とても語りにくい、この手の事業をどう盛り上げるかは結構重要な課題だと思います。僕には何の策もないし、そこから逃げた人間でもありますが。

IT業界が若者に不人気な一番の理由は、明確なイメージが見えないことより、むしろその過酷な勤務時間、労働条件ではないでしょうか。
先日大学を訪問した際、就職活動中のサークルの後輩達(大学3年生)と会ったのですが、夫婦揃ってコンピューター系の会社にいると言う事でIT業界についてずいぶん質問を受けました。
「毎日終電まで帰れない位当たり前だって本当ですか?」「残業代でないって聞くんですけど・・・」「潰しがきかないって本当ですか?」等々、彼らは業務内容よりむしろ労働条件が気になるようでした。
私自身はエンジニアではないので私の労働条件は参考にならないです。
ですが、哀しいかな、終電が当たり前の主人の勤務状況を考えると一つも否定できませんでした。
業界的に考えても、自分のタスクが残っていれば定時に帰れないのは当たり前、だけど裁量労働の名のもとに残業代の出ない会社も多く、潰しがきくかどうかは本人の努力次第と答えるより他にありません。
エンジニアの妻として考えると、決して労働条件の良い業界とは言えません。
まず業界に蔓延る悪習を改善する事が将来逸材確保の一番の早道ではないでしょうか。

OSSなんか関わってもいいことありませんでした。

コメントの ゆきち さんには悪いけど、優れた銀行のシステムを作り上げるのに、もう優れた人材は(たくさん)要らない、という事じゃないですかね。将軍以下全員兵卒でもプロジェクトはこなせる、それはそれですばらしい事ですよ。ただそこに将来(のびる余地)があるか、という疑問は、僕は吉岡さんに賛成なんだけど。

すみません、名前を入れ忘れていました。
2番目の長々としたコメントはhuchidaです。

>重鎮たちは「コミュニケーション能力に長けている人」

パソコンオタクばっか集まるからでしょ。
ネクラで。だけど知識だけは豊富な。
そういう奴はいらないってこと。

>IT技術者に専門性は必要ないのか
いやそれはそもそも「言うまでもない」でしょ。
IT希望する人間で専門知識が無い奴なんて居ないわけで。

>IT希望する人間で専門知識が無い奴なんて居ないわけで。
いますよ。それも沢山。
入社してから初めてプログラミングをした人が大勢います。

>IT希望する人間で専門知識が無い奴なんて居ないわけで。

そう思いたいですが、意外といます。
技術力が基礎なのに、世界レベルでは戦えていない人が多いです。

多分、IPAの会議で出た方々が、日本市場を主眼とする人なので、コミュニケーション力が重要なのでしょう。
世界を相手にするなら、コミュニケーション力を言う方々なら、英語力とか言うはず。IT業界の幹部と言われる方々の視野の狭さが気になります。
少なくとも、コミュニケーション力を重視する会社の人々は、技術力は、商売のネタであるという考えがない気がして心配です。
お偉方の認識が、もはや、技術力は重要ではなく、ITの活用に重点が移っていると言うなら、ITのビジネスモデルの未来を描いてほしかった。

私が大学を出たのは相当前ですが、大学を卒業するだけの基礎力があれば、会社が教育するというのが、どの業界でも普通でした。善し悪しは別として今でも大半の企業が、大学で学んだことに、さして期待していないはずです。別の言い方をすると内心は期待していたとしても(知識があるに越したことはないですから)、学んでいない人も採用しないと数も足りないし、別の視点からの人もいりますから、そういう人を遠ざけない意味でも、専門が大いに役立つとは言いにくいのだと思います。

若い人に感じてもらう魅力とは、大学で学んだことを活かせるということではないと思います。最初の方にある世界をよりよくしていくのが使命に関われることなはずです。私はITを学んでいない人にもこの業界に入ってもらいたいと思っています。

ITコンサルタントだけでなく、経営コンサルタントでさえもリンク先のような意見なのですが、日本のコンサルタントというのはこんなものなのでしょうか。ご意見お聞かせ願います。

>>IT希望する人間で専門知識が無い奴なんて居ないわけで。
>いますよ。それも沢山。
>入社してから初めてプログラミングをした人が大勢います。

このような現状が問題なんだと思います。
プログラミングなんて、今時どの家庭にもあるPCとインターネットがあれば、誰でも始められるんですよ。

仮にプログラマにならないとしても、IT業界に関わろうと思うからには、一度くらい
「どれ、世間でプログラミングと言われているのはどんな物なのか、ちょっと試してみるかな…」
と自発的に思うくらいの熱意や好奇心が無い人を、業界から締め出すべきでしょう。

別に趣味としてのプログラミングが長続きしなくても、それは問題ではありません。
自発的に「ちょっとカジッてみる」、この感覚が重要。

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