TOMOYO Linuxについて
先日のカーネル読書会はOLS (Ottawa Linux Symposium)の出張報告をいろいろな方にやっていただいたのだが、それぞれ味のあるお話で大変興味深かった。
TOMOYO Linuxは原田さんのプレゼンにあったように2007年2月8日にYLUGカーネル読書会で初めて発表してもらった。そのビデオがGoogle Videoでみれる。
http://video.google.com/videoplay?docid=-5205950078661881140&hl=en
1時間の予定が、後半大変活発な質疑応答があり、1時間14分ころから海外発表はないのかとかの議論がわきおこりOttawaで発表しましょうという話がでる。さらに1時間20分ごろからのはげしいやりとりがあって、原田さんたじたじ。激励なのか叱責なのか。
現場にいたものとしては、愛のある応援として聞いていたのだが、原田さん達には、相当なカルチャーショックだったのだろうなあと今にして思う。
企業にいる以上、企業の利益に直接的にも間接的にも結びつかない活動は基本的にはできない。企業人として会社にコミュニティ活動やOSSなどを認めさせるような共通のテクニックが必要である。その状況はTOMOYOがカーネル読書会で初めて発表して以来われわれ自身の課題でもある。
The Linux Foundationのシンポジウムで発表された資料を読むと、CELFのジャンボリーやYLUGカーネル読書会での叱咤激励以降のTOMOYOチームの歴史が生々しく語られている。涙なしには読めない。
随分無茶を言ってしまったのだろうなあと今にして思う。外野が随分無責任にあおっちゃったんだろうなあと思う。
しかし、NTTデータという日本の大企業を社内から動かした原田さんたちは本当にすごい。その会社を動かすノウハウあるいは社内説得術というのは大変貴重なものではないだろうか。
TOMOYO LinuxをLinux Kernelのメインライン化するという険しい道のりに対して企業人として、どのように応援できるか。大きな課題である。
■TOMOYOのニュース
http://d.hatena.ne.jp/keyword/tomoyo%20linux
■Linux Foundation Japan #8 Symposium
http://www.linux-foundation.jp/modules/eguide/event.php?eid=10
TOMOYO Linux(ユメのチカラ)
http://blog.miraclelinux.com/yume/2007/02/tomoyo_linux.html
ハッカーの価値を理解しつつ経営幹部にオープンソースの生み出す価値を正当に評価してもらうように働きかけるハイブリッドは人材が必要なのであるが、現場のハッカーは、パッチを作って公開するところでエネルギーを使いつくし、社内政治の場に打ってでるというところまで正直頭がまわらないしそういう事にたけてもいない。社内のサポータ、スポンサー、あるいはパトロンみたいな人が必要なのだけどなかなかハッカーとそれらの人達とを橋渡しする人がいない。
カーネル読書会は企業からの参加者も徐々にだけど増えているので、各人が自分の上司をどう説得したとか、社内の抵抗勢力(?)とどう闘ったかとか、そういうノウハウを共有できれば、もっともっとハッカーが社内で生き易くなるのではないだろうかとか妄想は膨らむ。
企業発OSSのコミュニティアライアンス戦略(ユメのチカラ)
http://blog.miraclelinux.com/yume/2007/02/oss_446d.html
企業のサポートによって開発されたOSSをどのように普及推進するかというのが今回の命題である。コミュニティはそれをどのように支援できるのか、できないのか、すべきなのか、すべきではないのか、双方にとってメリットのあるアライアンスの形態はどのようなものになるのかならないのか、というのが今回の問題である。
結局のところ企業の利益に貢献しなければOSSの開発も持続できない。利益は売上から経費を引き算して生まれるから、当該OSSを利用してSIやコンサルなりなんなりして稼ぐという方法(売上を増加させる)と、開発コストを下げる方法のあわせ技になる。
カーネル読書会の作り方(ユメのチカラ)
http://blog.miraclelinux.com/yume/2008/08/post-16d9.html
ひさびさのカーネル読書会(よそ行き顔で)
http://d.hatena.ne.jp/haradats/20080822/p2
まっちゃさんは、大阪に住まれていて、TOMOYOが激励?された例のYLUGがまっちゃさんにとって最初に参加したYLUGで、激励された自分も驚いたがそれを目の当たりにされたまっちゃさんも相当にインパクトがあったようだ。




その節はお世話になりました(笑)。
TOMOYO Linuxがメインラインを目指すようになったのは、2007年12月のCELF勉強会と2008年2月のYLUGがきっかけになっていて、ThinkITさんでもインタビュー記事が掲載されています。
http://www.thinkit.co.jp/cert/article/0709/8/1/2.htm
このときのYLUGは、コミュニティからは怒られ、後ろからは刺され(笑)、という感じで、自分にとって忘れられないイベントとなりましたが、正しい方向(目標)を意識し、それに向かって取り組みを変えることができたという意味で、プロジェクトにとって実に得難い機会となりました。声をかけていただいた吉岡さん、Usagiの吉藤さん(このときが初対面)、ブルークォーツの伊藤さんはじめコメントいただいた皆さんには感謝しており、Linux Foundation Japanの講演ではそれを視覚的に表現してみました(動画で見るとわかります)。
Linux Foundation Japanの資料で、私は「多くの人たちとの出会いがプロジェクトを変えた」と書きました。出会いがあり、出会った人々に助けられ、導かれて今がある、そう思います。講演はTOMOYO Linuxというプロジェクトのあゆみであると同時に、それを支えてくれた方々への謝辞でもありました。講演資料の最後のページは、最初"Thank You"というタイトルでした。出会った人々に助けられながら、自分だけではできないことに挑戦し、そしていつか自分もまた誰かを助けていけたら、そんな気持ちで本番の少し前に、"With A Little Help From My Friend"に変更しました。
TOMOYO Linuxのメインライン化は相変わらず難航しています。難航していますが、あきらめずに挑戦し続けます。結局、そこ以外にゴールはないからです。
投稿: haradats | 2008年8月31日 (日) 21:57